最終更新日 2022/06/05

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133話  完全体の壁

5月25日(日曜日)

レイドボスイベントも、残すは6日となった。

この1週間で脱落者続出し、未だに、完全体となったレイドボスを倒せたのは、1組のみ。

素材や宝箱回収、ダンジョン探索に切り替えた人がほどんだの様だ。

その為、現在もレイドボスに挑んでいるのは少数だ。

そんな中、拠点には知り合いに集まって貰った。

改良版アイテムを実戦投入するからだ。

「さて、今、みんなに配ったのが、以前に見せたアイテムの改良版になる。

机上の空論かも知れないけど、それよりも、目標を少し高くしてあるよ。

どれだけ、通用するか分からないけど、頑張って。」

「おう!任せろ!これで、勝率を上げる事が出来る。」

「うんうん。お兄ちゃんのアイテムがあれば、完全体も必ず倒せるよ!」

その後、皆は第四形態を倒す為に移動を開始した。

5月31日(土曜日)

レイドボスイベント最終日

今日は休みという事もあり、午前中から大盛況らしい。

魔法札と増幅札の改良版をみんなに渡した後、
めでたく第4形態を撃破し、完全体に挑戦したようだが、未だに撃破できていない。

「はぁ。あと、少しで勝てそうなのに、なかなか、勝てん。」

「本当だよ!あと1メモリまで追い込んでいるのに!」

「行動パターンが不規則なのも難しくしているわ。コウちゃん。ジュース貰うね?」

どうやら、あと一歩の所で勝てないようで、カイトもミュウちゃんもイライラしている。

「そんなになんだ(苦笑)」

「考え得るのは試したんだけどな。」

カイトは腕組みしながら、倒す方法を考えているようだ。

ミュウちゃんも同じ言葉を口にするが、こちらは、机に突っ伏している。

「聞きたいんだけど、ダンジョンを探索している?」

「そう言えば、お兄ちゃんの装備が良いから、
フィンテルの時と違って真剣になっていないかも。」

ミュウちゃんの言葉を、シエルちゃんが補足する。

「もちろん、宝箱は取っているけど、この装備でないと倒せないと言うのが無いから、
消耗品くらいしか使っていないかも知れない。」

シエラちゃんは、お茶を飲みながら、思い出している。

「俺達もだな。宝箱があるのは知っていて、回収したりしているが、
時間が出来た時に、宝箱を少しずつ開けている。

コーヤの装備があるから、真剣に宝箱の装備を調べた事は無いな。

何か、戦闘に有利になる装備でも見つけたのか?」

カイトは、イスから芝生に移動し、寝転びながら聞いて来る。

「そう。どうも、ランダムで特化型武器が配置されているようで、
僕が見つけたのは、槍で水属性の敵への攻撃が5倍になるだったよ。」

「5倍だと!」

芝生に寝転がっていたカイトが、勢い良く起き上がった。

「うそ!そんなのあったの?

私達も探しているけど、見つからなかったわよ!?」

考えながら行動していると思われる、アキホお姉ちゃんまでびっくりしている。

「まぁ。僕の場合、早い段階で見つかったけど、運頼みだからね。

使い切り版や、数回使えるのとか、色々とあるらしいから、

宝箱を多く見つければ、特化型武器が見つかる確率も上がるんじゃないk?」

「よし!(時間を確認して)午後1時だから、今なら間に合う!みんな!!行くぞ!」

「みんな!わたし達も行こうよ!!」

次々に、さっきまでのボヤいていた姿とは違って、
僕の言葉を聞いて、生き生きして、皆、行動を開始した。

「常日頃から、習慣としてれば、もっと早く見つかったのに。(苦笑)」

変わり身の早い人達を見て、僕はつぶやいた。

そのつびやきをアカネさんは聞いていたようだ。

「それは、しょうがないんじゃないかな。

ダンジョンに入ったら、宝箱を調べるより、ボス撃破に集中しちゃうし。」

アカネさんが、悟ったように話す。

「アカネさんとリンネさんは、行かないの?」

「私達は、特化装備を手に入れているから、もう少ししたら行くよ。」

「そうなんだ。じゃあ。頑張って。」

午後8時

「それじゃあ。みんなのイベントクリアにかんぱ〜〜〜い!!!」

「(参加者一同)かんぱ〜〜〜い!!!!」

「いやぁ!ギリギリ完走する事が出来たぜ。」

「本当だよ!お兄ちゃんが特化武器の事、教えてくれなかったら無理だった!」

皆は、飲んだり、食べたり、雑談したりとこの場を楽しんでいる。

そんな中、アキホお姉ちゃんが声をかけてきた。

「コウちゃんはどうだったの?」

「僕?僕は宝箱の回収と、イオさん達と鉱物資源の調査していたよ。

宝箱は、最終的に装備品・消耗品の宝箱各1956個入手出来たけど、
面白い素材が手に入るかも知れないと思ってね。」

「はぁ。コウちゃんらしいわね(苦笑)それで?何かあった?」

「うん。ルビーなどの宝石類の原石、鉄・銅・アダマンタイトなどの鉱脈が見つかったから、
時間のある人で掘りに行くって、イオさんは言っていたよ。

埋蔵量も多いみたいだから、僕も手元が足りなくなったら、行こうかなとは思っているね。」

「ミスリルは無かったの?」

「う〜ん。あるとは思うけど、少ないと思うよ。

僕としては、今までにも、ミスリルを多く入手しているから、あまり興味は無いかな。」

「確かにコウちゃんは、イベント以外でも手に入れてそうだもんね。

この話はこれで終わりにして、コウちゃんに合わせたい人がいるの。」

「僕に?」

「ほら、去年、生産ギルド作るって話があったでしょ?」

「あ〜。そういえば、そんな話あったかな。色々とする事多くて忙しかったから忘れていた。」

「で、私の友達がギルド長しているんだけど、コウちゃんと話がしたいって。」

「まぁ。今は時間は取れそうだから良いけどね。でも、別に得は無いと思うけどなぁ。」

近くにいたイオさんが話に入って来た。

「たぶん、コーヤさんの作ったアイテムを、
大々的に取り扱いさせて貰いたいって話だと思うわ。」

アキホお姉ちゃんが頷いていた。

「う〜ん。そんなに広範囲の人に有効なアイテムなんて作ったかなぁ。」

近くで聞いていた人達が、みんな揃って苦笑していた。

「さすが、コーヤだな。あれだけの品を作っておいて。」

「いやいや。本当に分からないんだって。

僕が作ったのは、その場、その場で必要だから作ったのであって、
その後の事は気にしていないし。」

「コウちゃんは、生産職の現状聞いた?」

「いや?過去に戦闘職と生産職が衝突して、数が少なくなったみたいな話は聞いたけど、
現在、どうなっているのかは知らない。」

「簡単に言えば、生産職の人数は確実に増えているわ。

ただ、目標が見えない為か、品質向上にまで行っていないのよ。」

「確かに、私の店に買いに来る人は、

高いけど実用性で保証もしっかりしているからって人が多いと思うし。」

「なるほどね。

確かにこのゲームは、鍛冶スキルが上がったからといって、自分で行動しなければ、
単調な作業になるだろうし、目標が無ければモチベーションも下がるかもね。」

僕は、格安で入手した拠点や、拠点と設備が高ランクだった事。

そのすぐ後に、運良く、魔法陣初級編を入手出来たから、物作りが面白くなった。

ただ、それがなければ、目標も無いかも知れないし、教えてくれる人もいない。

精神的に折れる人も多いと思った。

「そう。友達はそこを心配してね。

国全体を発展させる為には、底上げが無ければダメだからね。」

アキホお姉ちゃんの頼みもあって、明日会う事になった。

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