最終更新日 2022/06/05

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Infinite Alternative World(インフィニティ・オルタナティブ・ワールド)
〜探索は食から(仮)〜


14話 イベント

6月12日(金曜日)

午後8時

この日、僕にとって初めてのイベントの告知が来た。

内容によれば、どの様な方法でも良いので、
リスピア王国の侵攻を阻止せよとの事。

しかも、ランダムでサーバーを分ける、協力型イベントの様だ。

日時は6月21日(日曜日)〜7月19日(日曜日)までの1ヶ月間

ログインは通常サーバーで、イベントサーバーへのログインは別扱いとなる。

そして、イベントサーバーへログインをすると、ログインボーナスが貰える。

しかし、イベントサーバーへログインした回数もポイント対象なので、
同じサーバーでも、ポイントの多い少ないがありそうだ。

ポイントに付いては、成功すると1万pt、失敗でも5000pt貰える。

他にも細かいポイントの条件が書き込まれていた。

状況確認

5月6日の翌日には、ドローン作りに入った。

以前は、フォルセニア全域を網羅する為に、1エリア6台(計30台)体制だった。

録画する為に必要な、魔石もしくは宝石は、
拠点地下に見つかった採掘場跡地から、採掘した。

それに加えて、リスピア王国の分を1エリア10台に増やし、計50台を作成し、
順次、対象区域へと向かわせた。

現在は、リスピア王国のマッピングは完成し、見回りをしている。

あと、サラさんは、翌日の5月7日から、錬金部屋に籠もってしまった。

その為に、部屋内に、新たに設備を置いた。

ただ、サラさんの研究の成果と、僕の意見を合わせて、認識の共有も出来、
お互い、刺激しあって、良好な関係を築けている。

その情報の共有作業の中で、僕がふと思った事を実験すると、
面白い素材に変化する事が判明した。

「なるほどですね。コーヤさんの様な考え方はありませんでした。」

「まぁ。僕も、出来るかどうか分かりませんでしたが。

何事も、気になった事は、一度行動してみるのが、良いと思っていますので、
変化が無ければ無いでと思っていましたね。

でも、こんなに有用な素材に変化するとは・・・。」

僕がふと思ったのは、あまり、ゲームはしない方だったけど、
遊んだ事のあるゲームでは、素材の合成が出来た事は無かった。

そこで、このゲームではどうなのだろう?と思ったのだ。

実際に実験してみると、リアルにもある合金を組み合わせると、
違う素材へと変化したのだ。

・鉄インゴット×ニッケル3割→フェルムケル

・鋼インゴットとマンガン2割→シュタールネシア

・鉄インゴット+50と鉄インゴット+50→フェルムコウ

上記は1つの例だが、手元にある素材で、変化するのも数十種類あった。

あと、鑑定で分かったが、特性が変化するのもあるようだ。

先程のフェルムコウが良い例で、鉄の持つ重さが半減する。

これらの実験の結果は、実験記録帳に纏めた。

イベント当日

6月21日(日曜日)

「あ〜。先程の話し合いで、議長をする事になったハトンスと言う。よろしく頼む(お辞儀)」

ぱちぱちぱち

参加者から拍手が起きる。

「さて、まずは、達成目標が曖昧な点についてだが、みんなは何をすれば達成すると思う?」

挙手

「俺はレアルズだ。隣国が侵攻をしないように、
罠を張って、一網打尽にすれば良いのではないか?」

挙手

「はい!わたしはステニーです。開催期間が一ヶ月あるのが、どうにも怪しいと思うわ。

簡単なイベントと考えたら、ポイントが低かったなんて事になりそうで。

これが魔物vs人間なら、ここまで期間は取らないはず。

人間vs人間で、攻略方法がすごく多い気がするの。」

この後も、色々な意見が出る。

侵攻を計画している国を滅ぼせば良いと言う意見から、
フォルセニア王国の王宮に働きかけて、外交交渉すると言う意見まであった。

僕は、今日の参加者が1000人以上なので、
後ろの方で話し合いを聞く事にした。

自分にとって、イベント交換品は魅力的では無いので、
初めてのイベントを無難に終われば良いと思っている。

そして、始まった今後の話し合いだけど、開始から1時間以上経過するが、
全然、話がまとまる気配は無い。

飽きた人は、既に個人で活動をしている。

僕もそろそろ、飽きたので、個人で活動しようと思ったけど、
聞き疲れもあって、少しお昼には早いが、何か食べとこう。

とりあえず、最近釣った魚の骨を揚げた”骨せんべい”を食べよう。

「(ぱりぱり・・・。ぽりぽり・・・。)良しと、移動するか(小声)」

移動しようとすると、いつの間にか横にいた、
4人組の女性パーティーの1人に、服を引っ張られた。

「え〜と、何ですか?」

「今、何食べていたんですか!?」

小声で話しているが、好奇心旺盛な人らしい。

メンバーの3人は苦笑いしている。

「場所が悪いから、移動しません?」

女性パーティーは、こくんと頷き、僕達は話し合いしている会場を後にした。

十分に離れたと思ったのか、先程、服を引っ張って来た女性が話しかけて来た。

「あの!それで、何を食べていたんですか!?」

「あははは(苦笑)すみません。この子、食べ物に目がなくて。」

リーダーと思われる女性が、謝って来た。

「別に構いませんよ。僕が食べていたのは、骨せんべいです。」

少しの間があり、聞いて来た。

「ごめんなさい。骨せんべいって何ですか?」

ポピュラーじゃ無かったようだ。

「簡単に言えば、魚の骨を油で揚げた物です。」

多く作っていたので、4人にもおすそ分けした。

「美味しい♪」

「本当、これだけでも、街の飲食店より美味しいわね。」

他2人は、無言で食べている。

「ありがとうございました(お辞儀)

こんなに美味しい食品を食べたの初めてです。」

リーダーと思われる女性が、その様に話すと、
メンバー全員が大きく頷く。

「確かに、宿とかの料理も、すごく美味しいとは言えなかったですけど、
川で魚を釣るなどして捕まえて、塩焼きすれば、
それなりに美味しく食べれるはずですよ?」

「(苦笑)私達、中学2年なんですけど、料理が全然ダメなんです。

それに、親もコンビニやスーパーで買う派なので、
子供の頃から、料理を教わる土台が無いんです。」

「えー(ため息)良く今まで、無事でしたね。」

「何か、ダメな事があるんですか?」

服を引っ張って来た女性が、不思議そうな顔で聞いて来た。

「別に悪いわけでは無いけど、コンビニやスーパーの惣菜などは、
平均的な味付けだと思うんだ。

でも、背が高い人、低い人、栄養分を吸収する人、しない人など、
仮に同じ環境で育ったとしても、血液検査しても同じにならない。

だから、場合によっては、醤油を減らすとか色々と対応する必要があると思うんだけど、
買った食品が、必ずしも体にマッチするとは限らないと思っている。」

「なるほど。以前に父方の祖母が、そんな事を言っていた気がします。

その時は、まだ、小学4年頃だったから、分からなかったけど、
今の話を聞いて、少し納得出来ました。」

黙々と骨せんべいを食べていた1人が、この様に話す。

「まぁ。僕は、釣りが趣味な人や美味しい料理を作れる人が、
親戚にいたから、その人に、色々と教えて貰えたんだけど、皆の話を聞くと幸運だったんだな。

それじゃぁ。僕は、行くよ。」

僕が、歩き出そうとすると、呼び止められた。

「あの!料理を教えて下さい!

それと、今回のイベントの事のアドバイスを貰えたらと・・・。」

立ち話だと疲れるので、拠点に招待した。

「おお!立派な建物ですね!」

「ありがとう。入って。」

女性パーティー4人は、「おじゃまします」と言って入って来たので、
リビングに案内し、お茶を出した。

みんなが一息ついたのを、見計らって話をした。

「まず、僕の名はコーヤ。4月に初めて、2ヶ月半経過したところだよ。」

「ありがとうございます(お辞儀)
私は、このパーティーのリーダーをしている戦士のミスカです。」

「わたしは、魔法使いをしているミユカです。」

「はい!あたしは、リオです!主に盗賊として活動しています!」

「最後に私が、ヒメナです。」

「さて、どうしようか?料理する?」

「あの!最初に、このイベントを考えましょう!」

ミスカさんが勢い良く言う。

「なんか、精神的に落ち着かないので(苦笑)」

「まぁ、僕はどちらでも構わないけど。」

「え〜と、コーヤさんは、このイベントどうすればクリアだと思いますか?」

ヒメナさんから聞いて来た。

「個人的な考えなら、最終的に攻め込ませない様にすればOKなんだから、
相手の国で戦闘準備している都市を、物理的に囲ってしまうのが、
一番簡単な方法かなと思う。」

「なるほど。強制的に籠城させると言うのですね。

でも、一般人にも被害が出ると思いますが・・・。」

「うん。一般人はOK、騎士団はダメみたいに、
通行規制すれば、困るのは出撃出来ない騎士団やお金に釣られた冒険者達。

課題は、その様に指定できる付与魔法などが、あるのかどうかだね。」

「はい!あの、仮に囲うとして、何で囲うんですか?」

「以前、使ったんだけど、石壁を強化しただけの強化石壁を設置して、
毎日確認して、壊されそうなら、外から新たに設置すると言う方法だよ。」

「うん?あの、ダンジョン都市ライカーク付近で、魔物の氾濫があった時に、
友人が参加していて、防ぎきれない!と思っていたら、
突然、眼の前に石壁が設置されたって話していたんですけど、
それって、コーヤさんの事ですか?」

今度は、ミユカさんが聞いて来た。

「そう言えば、そんな事もあったな。

あの時は、偶然見つけたダンジョンで、有益な本を見つけたからね。

その本に、壁を強化する方法が書かれていたから、
石壁で確かめたら出来たんだよね。

強度は調べていないけど、魔物の氾濫でも壊れなかったから、高いはずだよ。」

「そうだったんですね。

でも、行動するつもりですか?

多くの人が、会議を無視して、単独行動をしていると思うんですけど。」

「だね。個人的には、結果は成功でも失敗でも良いんだ。

僕の目的は、通常サーバーに無い素材があるかどうか。

相手も準備が必要だから、攻め込んで来ても、2週間後ではないかと考えているよ。」

この後も、意見を出し合い、1時間が経過していた。

午後1時

それから、お昼時の事もあり、料理を教えながら、みんなで昼食を作った。

「(全員)いただきます(手を合わせる)」

「(女性4人)おいしい〜〜〜〜!!!!」

みんな、黙々と食べ始めた。

メニューは、ボア肉入りのコロッケ、マカロニケチャップ炒め、菜っ葉の添え物だ。

20分後

「(女性4人)ごちそうさまでした(手を合わせる)」

「ふう。コロッケって、自分で作ると全然違うんですね。」

「コロッケもそうだけど、マカロニをケチャップで炒めるだけで、
こんなに美味しくなるなんてびっくり。」

「うん!全部美味しかった!」

「(こくこく)」

1人ずつ感想を話す。

「気に入って貰えて良かったよ。

コンビニやスーパーの惣菜などは、確かに美味しいんだけど、
外で話している時にも言ったけど、体型や生活習慣などで、必要な栄養分は大きく変わる。

でも、こうやって、手作りすれば、徐々に味付けを薄味に慣らす事も可能だし、
本当に必要な栄養分を取る事も出来る。

まぁ、本当に忙しかったり、一ヶ月に数回程度なら問題ないと思うけどね。」

「はい!あの、私の父が定期検診で肝脂肪が多いと言われたらしいですけど、
それも、関係あるんですか?

外食でも、健康に良いのを選んでいると言っていますけど。」

ミスカさんが、手を挙げて質問して来た。

「人によって違うと思うけど、食べすぎによる栄養過多ではないかと思うね。

背丈が同じ人でも、内蔵の働きも同じとは限らない。

お酒を良く飲む人なら、お酒の頻度を落とす。

食べ過ぎなら、少しの間、カロリー計算して、
肝臓の値が正常に戻るのかを見れば良いと思うよ。」

今度は、ミユカさんが質問して来た。

「あの、コーヤさんは詳しいんですか?」

「僕の母方の祖父母が、経験談を話してくれたのが大きいかな。

2人共、小学校1年生の頃、亡くなったんだけど、
色々な話を聞かせてくれて、その中に、自分達の生活に関する話もあったんだ。」

「なるほど。経験者の話は重みが違うと言いますし。」

「うん。さて、この後どうする?解散する?」

リオさんが、勢い良く手を挙げて、提案して来た。

「はい!魚釣りしてみたいです!」

「みんなは?」

「そうですね。少し、料理が楽しくなって来たので、魚の捌き方を教えて欲しいです。」

「はい。骨せんべいの作り方も・・・。」

「分かった。それじゃぁ。準備して拠点裏の低湿地に行こうか。」

この後、低湿地についてや、魚の釣り方、捌き方などを講習していたら、
午後5時半になったので、ミスカさん達4人はログアウトした。

ミスカSIDE:

ヘッドギアを外し、一息つく。

「ふう。今日は濃い1日だったなぁ。」

特に、リオがコーヤさんの骨せんべいに、食い付いてからは、
時間が早く過ぎて行った気がする。

「楽しい事をしている時は、時間が早くなるって言うけど、本当だったな。」

今までも、楽しい事をして来たけど、今回の様な早さでは無かった。

「お母さんは、もう、買い物行って帰って来ちゃったかな。」

出来れば、今日、教えて貰った事を活かしたいと思うけど、聞いてみよう。

2階から1階に降りて、リビングに行く。

今日は、日曜日なので、お父さんは仕事が休みだ。

「お母さん。夕食どうするの?」

「あら、霞(かすみ)珍しいわね。」

「うん。今までは、あまり、料理に興味無かったんだけど、
ゲームで料理を教えて貰って、一気に興味が出て来たの。」

「へぇー。どんな料理を教わったの?」

「コロッケとマカロニケチャップ炒め、後は骨せんべいと魚の捌き方。」

「骨せんべい・・・ね。子供の頃、母が作ってくれたわね。家が漁師していたから。

でも、マカロニケチャップ炒めってなに?」

「マカロニをケチャップと塩で炒めるだけ何だけど、すごく美味しかったの!」

「ふふふ。そこまでなのね。興味が出て来たわ。

今日はダメだけど、材料用意しておくから、霞(かすみ)お願いできる?」

「分かった(笑顔)

あ!そうそう!お父さん。

料理を教えてくれた、コーヤさんという人が、
お父さん前の定期検診で、肝臓に脂肪が付いているって言われたんだよね?

それって、食べ過ぎによる栄養過多が原因かも知れないって。」

「う〜ん。お父さん、食べ過ぎない様に注意しているんだけどなぁ。」

「コーヤさんが言っていていたけど、まずは、少しの間だけで良いから、
カロリー計算して、コントロールしてみたらどうかって。

それで、変化なしなら、病気を考えた方が良いかもとも言っていたよ。」

「そうか。じゃぁ、まずは、運動多めにして、食べる量を少なくする努力をしょう。

半年後の定期検診で、数値が良くなる事を目指して!」

「うん!頑張って!」

この半年後、定期検診があり、運動とカロリーを意識した食生活により、
数値は大きく改善し、コーヤに感謝する事になる。

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