日本國の位置
旧唐書日本國伝の冒頭の続きに下記の文があります。
原文:
其人入朝者、多自矜大不以實對。故中國疑焉。
又云其國界東西南北各數千里、西界南界咸至大海。
東界北界有大山為、限山外即毛人之國。解読:
其の入朝する人者(は:短語)、
自ら大きな実を以って多くを矜(ほこ)るが對(こた)えず。故、國は疑いを中てる。
又、其の國は東西南北各數(数)千里、西界と南界は、咸(みな)大海に至る。
東界と北界は、大きな山が有ると為し、山の外に限り、即ち、毛人之國。
旧唐書日本國伝
「東西南北各數(数)千里」を考えます。
1里が時代によって異なり、
周・漢時代の400m、清朝滅亡後が576mだった様なので、
中間を取って、「490m」で考えようと思います。
「数千里」なので、最高九千里だと考えると、基本値で千里は「490km」、
九千里だと「4410km」になりますが、想像出来ません。
また、文の中に「各」があるため、一辺の長さが最長「4410km」で、
正方形をしている地域と解釈出来ますが、九州も朝鮮半島も正方形ではありません。
なので、現場を理解しないまま、記載した可能性が高そうです。
しかし、「日本國伝」とあっても、列島と確定出来ません。
ただ、Wikiの朝鮮半島の説明に
朝鮮半島はユーラシア大陸の東端に位置し、南北に長く、
Wiki
約1,000キロメートルにおよび、古くは「三千里」と数えられ
とある事から、朝鮮半島の事を記した可能性があります。
「西界南界咸至大海」ですが、
残念ながら、この記述をもって列島を指す事は出来ません。
なぜなら、西と南に大海があるのは、列島だけではないからです。
列島の九州は、「西に東シナ海」、「南に太平洋」がありますが、
朝鮮半島も、「西に黄海」、「南に東シナ海」があります。
「東界北界有大山為」も、九州の山を調べて貰えば分かりますが、
「大山」は別に「東と北」にだけあるわけではないので、
やはり、この記述で列島を指すのは難しいです。
そもそも、なぜ、「大海を越えた」とか「大海の先にある」と言う表現が
されないのか不思議です。
そこから考えても、倭國同様に「日本=列島」と考えるのは難しく、
日本國もまた、朝鮮半島に存在していた可能性が出て来ます。
とはいえ、長安三年の記事の前後で、情報量の差があるので、
全てが朝鮮半島の記事とする事は出来ないと思っています。
ただ、南朝鮮の南岸には諸島群があり、
そこを指している可能性が高い様に思えます。
古代中国だけでなく、東南アジアなどの史書に、
参考となる情報が無いか、今後、調べて見たいと思います。